拍手御礼

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御礼09の後青き星に帰還したゴルベーザとカインは、バロンの片田舎で一緒に暮らし始めた。






セ「兄さーん、ローザとケンカしちゃって……」
ゴ「どうしたのだ」
セ「あなたは優柔不断なのよ、って怒り出したんだ」
ゴ「おまえはやさしすぎる。女にはときにビシっと声を荒げるくらいでちょうどいい」
セ「そんなものか……僕にできるかな」
ゴ「凛々しくかっこいい、と惚れ直すだろう」
セ「わかった、やってみるよ! あ、カイン。そんな恰好で風邪ひくぞ」
カ「……(早く帰ってくれ!)」





カ「あまりあいつを甘やかすのも……」
ゴ「二十年以上離れていたのだ。大目に見てくれ」
カ「そりゃあ、わかりますけど。あ、わかるけど」
ゴ「ブブー、アウト」
カ「えー、いまのはセーフでしょう! だろ!」
ゴ「ブブー、アウト。罰ゲームだ。観念しろ」
カ「くすぐったい! あっ……う……」
ゴ「カイン……」
カ「ゴルベ――」
セ「兄さん! 明日までにこの質問に回答しなくちゃだめなんだ! 助けて! あ、お邪魔だった?」
ゴ「どうした? 予算問題か。そういうときはだな……」
カ「……(いつもいつも、こいつ、わざとかーっ!)」





セ「兄さーん! ローザが実家に帰っちゃったー」
カ「何やってんだ、おまえら」
セ「彼女が選んだ家具に、僕が文句を言ったら……」
カ「それはおまえが悪い。迎えに行ってこいよ」
セ「少女趣味過ぎると思って、ちょっと言っただけなのに」
ゴ「お互い冷静になるまで、うちに居ればいい」
カ「え……」
セ「いいの? ありがとう!」
ゴ「うちのベッドは広い。三人でも充分眠れる」
カ「……(ええ! よりによって同衾!)」





セ「兄さんは?」
カ「(また来たのか)仕事」
セ「あれ、おまえは?」
カ「今朝、具合が悪い、って言ったら、今日は休め、って」
セ「悪いのか。大丈夫か」
カ「たいしたことない」
セ「病気のおまえをほうって出かけたのか。ひどいな」
カ「……たいしたことないから看病はいらない、って行ってもらった。無理やり」
セ「心配じゃないのかな」
カ「何しに来たんだ」
セ「ああ、またローザとケンカして……」
カ「おまえら、よくケンカするな。あんなに仲良かったのに」
セ「結婚するといろいろあるじゃないか」
カ「同意を求められてもなあ……」
セ「え、おまえも結婚してるようなものじゃないか」
カ「……(なら、邪魔してるってことに気づけ)」





セ「政って難しい。僕、向いてないかもしれない。兄さんは悩まなかった?」
ゴ「私は絶対主権者だったからな」
セ「僕に足りないのは強引さか……」
ゴ「そのやさしさがおまえの良いところだ。民に愛される王になる。信頼を得ると皆もついてくる」
セ「そうか……」
ゴ「悩みがあったらいつでも兄さんに言いなさい」
セ「ありがとう! こんな頼りになる兄がいて、うれしいよ」
ゴ「弟がこんなに可愛いものとは知らなかった。なあ、カイン」
セ「一緒に城に住んでくれればいいのに……」
ゴ「おまえも、こうして行くところがあるほうが、息抜きができていいだろう」
セ「そうか、そうだね! カインもたまには息抜きに城に来いよ」
ゴ「それはない。これに息が詰まることなど絶対にない」
カ「……」
セ「仲いいなあ」





セ「兄さん、カインのこと、愛してる?」
ゴ「もちろんだ」
セ「いつから?」
ゴ「出会ったときからだろうな。よくよく考えれば」
セ「……僕なんて、小さな子どものときからだ」
ゴ「……おまえには妻がいるだろう」
セ「どっちも大切なんだ」
ゴ「カインには私がいるから心配せんでいい」
セ「心配はしてない。気になるだけ」
ゴ「何が気になると言うのだ」
セ「声を出すの、嫌がるのかなあ、とか」
ゴ「最初は我慢しているが、すぐに限界突破」
セ「ああ、やっぱり! 強情だよな」
カ「こ、このバカ兄弟! 本人の前で言うことかっ!」
セ「照れてる」
ゴ「そう照れんでいい」
カ「……(もう嫌だあ)」





セ「あれ? カインは?」
ゴ「出かけている」
セ「一人で留守番? 珍しいね」
ゴ「……どうやら家出のようだ」
セ「え! だったら、そんな悠長にしてないで探さないと!」
ゴ「おまえのところに行っているとばかり思っていたので、いま少し戸惑っている」
セ「ケンカ? またなんで?」
ゴ「……ようわからん」
セ「エッジやヤンのところにも訊いてみるよ!」
ゴ「いや……恥ずかしいので、それはやめてくれ」
セ「じゃあ、どうするんだよ」
ゴ「うーむ……」

一方その頃

カ「と、いうわけなんだけど、俺、わがままかな」
シ「何とかは犬も喰わぬ、って知っとるか」
カ「知らないな」
シ「……まあ、気の済むまで居たらいいが、迎えに来たら意地を張らんと、とっとと帰れよ」
カ「ああ、すまない。恩に着るよ」





セ「カイン! やっぱりここに居たか!」
カ「何でおまえが迎えに来るんだ!」
セ「兄さんも一緒だ。シドに会うのが恥ずかしいから飛空艇で待ってる、って」
カ「……いい大人なのに、恥ずかしいって……」
シ「まあ、慣れんのじゃろ。こういうことに」
セ「そう。どうしていいのかわからないみたいだ。かわいそうなくらい動揺してた」
カ「そ、そうか……」
セ「うれしそうな顔して」
カ「おまえが言うな」
セ「じゃあ、シド。カインが世話になったね。ありがとう」
カ「だから、おまえが言うなって!」
セ「兄さんに頼まれてるんだよ」
シ「仲良くしろよ。セシル、おまえもだぞ」




ゴ「カイン……」
カ「……」
セ「仲直りしろよ」
カ「べ、別に怒ってるわけじゃあ……あっ」
セ「もう、熱いなあ」
ゴ「ご苦労だった。セシル、もう帰れ」
セ「言われなくても帰るよ。おしあわせに」
ゴ「ああ、またな」
セ「あ! 用事忘れてた! 明日トロイアの神官の表敬訪問があるのに、挨拶を全然考えてないんだ。兄さん、助けて!」
カ「それくらい自分で考え――」
ゴ「来てくれてうれしい、ということをそれなりの言葉で語ればいいのだ。例えば……」
カ「……(だから甘過ぎるだろーっ!)」









09/02/21〜09/04/20
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