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・ゴルカイ同棲ネタ、上の続き


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「おまえ、本当にいいのか?」
「ああ。興味ない」

 エッジはゴルベーザの傍に寄り彼に耳打ちした。
「あいつ、女に興味なくなったんじゃねえの? あんたのせいで」
「それはないはずだが……」

「何こそこそしてるんだよ」
「い、いや。道順の確認だ」
「セシルは? 声、かけなかったのか?」
「行きたそうにしてたけど、ローザに遠慮してるみたいだな。『また誘ってくれ』だってよ」
「遠慮?」
「そこが誠実で良いところだ」
「はいはい、兄馬鹿結構……え?」
 いやいや、とカインは首を横に振ってエッジに訊ねた。
「ローザに遠慮ということは、そこに行くことをローザが良しとしないのか」
「女ならそうなんじゃねーの?」
「……」
 カインは首を傾げた。
 自分が好まないからといって夫の行動まで制限しようとするほど彼女は狭量でないはずだが。
「妻に反対されたわけでなく、知れる前にセシルが自制したのだろう」
 また考えていることを見透かされ、カインはむっとする。
「……とにかく、日が暮れるまでに帰って来いよ」
「へ? 何でだよ」
「物騒だろ。冥土だけに」
 エッジとゴルベーザは顔を見合わせ首を傾げた。エッジがまたゴルベーザに耳打ちする。

「何言ってんだ、あいつ」
「心配しているだけだろう」
「なんかずれてねーか?」
「何ごちゃごちゃ言ってるんだよ」
「い、いや、別に」
「道中気をつけろよ」
 首を傾げる男たちの背中を両手で軽く叩き、カインは二人を送り出した。



「どうだった」
「まあ、あんなものだろう」
「会えた?」
「誰に」
「え、ルビカンテやバルバリシアたちに」
「……どこに行ってきたと思っているのだ」
「どこ、って冥土喫茶だろ」
「そうだ」
「ギルバートがあの世に開いた、っていう、レクイエムか何かで」
「……おまえ、何かかん――あの世……『冥土』のことか」
「さっきから言ってるだろ」
「冥土ではない。メイドだ。おまえの育った家にもいただろう」
「家? 家に冥土?」
「女中だ。女中」
「女中……メイド……えええ!」
「ずっと勘違いしていたのか」
「何だそれ!」
「メイド姿の若い女が給仕する店で、客はそこの主人という設定で――」
「そんなところに行くなんて聞いてない!」
「『メイド』と聞いて『冥土』と取るほうがおかしい」
「う……」
「どうもおかしいと思ったぞ。男なら興味を惹かれないはずはないからな」
「裸エプロンか!」
「ち、違う! いかがわしい店ではない」
「どうだか。そういう店だと思って楽しみに行ったんだろ」
「う、疑うなら、今度行ってみるか」
「物見遊山でそんなところ、ばかばかしい」
「そもそもおまえはメイドにかしずかれる環境で育ったのだから、珍しくもなんともないのだろう」
「それを言うなら、エッジはもっとだろ」
「あいつは、あの服装が気に入っているらしい。故郷とまったく違うそうだからな」
「……セシルも行きたがっていたって? あいつこそいまの境遇と同じだろ。何がおもしろいんだ」
「私と出かけたかったのだろう。単に」
「……ブラコンめ」
「正直居心地が悪かった」
「だろうな」
「家でおまえが淹れた茶を飲むほうが寛げる」
「……行く前からわかってたことだろ」
「願わくば、エプ――」
「もう着ないからな!」
「まだ何も言――」
「聞かなくてもわかるわ!」









 おしまい





10/12/24〜11/2/20
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