拍手御礼

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21

「プレゼント……」
「ええ。来月のカインの誕生日に。もうお決めになりました?」
「ん、まあ……」
「よろしかったら教えてくださいません? 同じようなものになるといけないので」
「あ、ああ。具体的には、まだ――」
「あら、ごめんなさい。急かしたみたいで。でもよく考えたら、個性的なお義兄様と被るわけありませんね」
「……」



「何か欲しいものはあるか」
「何、いきなり」
「来月、誕生日だろう」
「……城で何か言われてきた?」
「そういうことだ」
「別にいいよ。欲しいものがあれば自分で買うから」
「潤いが無いな」
「そう? 同じ考えだと思ってた」
「喜ぶ顔が見たいものじゃないのか」
「喜ぶ顔を見て自分が喜びたいんだろ。特定の日にプレゼントのやり取りなんて、自己満足の応酬だ。あげたいときにあげればいい」
「意外だな」
「そうか?」
「私が言いそうなことだ」
「……感化されてる? 俺」
「恐らくな」
「……とにかく、そういうのは無しにしよう」
「セシルの妻に同じことが言えるか」
「言えるはずがない。ローザは別。女ってそういうの好きだから」



「……どうしたのだ、これは」
「ああ。欲しそうにしてたから買っておいた」
「……」
「気に入った? あ、ちょっと、痛いって」
「おまえのような奴をツンなんとかと言うらしいな」
「何それ。だから、気に入った?」
「ああ。ますますおまえのことが」
「そうじゃなくて。いや、まあ、うれしいけど」
「私もいま渡そう。あげたいときに、だったな」
「いつももらってるから、それ!」








09/10/26〜10/06/20

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